アジャイルコーチの備忘録

3歩歩いたら忘れるニワトリアジャイルコーチの備忘録。書評、活動記録など...

ProblemではなくKeepからTryを選ぶこと

現在支援させていただいている、とあるチームは結構難易度が高いことに取り組んでいる、と思う。
詳しくは書けないが、リーダーや上流工程の経験が乏しい若手中心でスクラムチームを結成しているのにも関わらず、先進的なアーキテクチャに加え、Atomic Designを採用し、ユーザーストーリーマッピングをし、といった具合に。

なので、はじめの内は、チームで合意形成しながら進めることにも、ユーザーストーリーマッピングすることにも相当戸惑って混乱している様子が伺えた。

そして、スクラムを初めて1ヶ月位経ち、今日のスプリントレトロスペクティブでKPTをした。

チームで合意形成しながら進めることに慣れてきた、ユーザーストーリーマッピングに慣れてきた。
多くのKeepが挙がっている。
けど、チームはKeepの共有を手早く済ませると、こちらも沢山挙がっているProblemからアクションを考えることに移っていった。

「喉元過ぎれば暑さを忘れる」

僕たちは、できることになったことを、当たり前のこととして流し、軽く扱いがちだ。
自分に照らしていえば、娘が生まれたことも、アジャイルコーチになったことも、少しの間は奇跡のように嬉しいことだったのに、1ヶ月も経つとすぐに日常になり、挙げ句の果てには愚痴まで言うようになる。

だから、今日のレトロスペクティブでは、以下の事だけをフィードバックした。

「君たちはすごい事をしたので、もっとお祝いしようよ!」

森一樹さんの『ふりかえり読本 場作り編~ふりかえるその前に~』には、「ふりかえりにおいても、起こってしまった間違いに対して、どのようにプロセスを直していけば失敗を防げるのか、を考えることはとても大事です。ただ、もっと大事なのは、「成功をより高める、継続させる」ためのアイデアを出すことです。」とある。
頭では同意するのだけど、自分はそのようにコーチングできていなかった。なぜならば自分自身が物事をネガティブに捉えがちだからだ。

booth.pm

けれど、今日のレトロスペクティブを見ていて、やはり森さんの言う通りだと強く思うようになった。

できるようになったことを祝福するチームと、できるようになったことを流して次の課題に取り掛かるチーム。チームの比較は人間同士の比較と同じくらい無意味だけど、その後成長するのは前者のチームなはず。少なくとも前者のチームは幸福だ。(もちろん、できるようになったことを祝福し、次の課題に取り掛かるチームがベストなんだろうけど)

けれど、チーム云々の前に、自分自身がそれを実践できるようになりたい。

そして、チームがKPTをやっている時には、次のアクションはKeepから選んでみませんか? ともさりげなく提案したい。